どこかへ出かけるための装いや身支度。
格好のつかない髪型も、
少しだけ整うよう気づかって、
あなたは今、何をしているのだろうと、
ぼんやり昔の記憶を思い浮かべる。
気づきもしない、気にも留めない時間の中、
共に過ごした景色を観ながら、「ここにあなたはいたんだ」と、
そんなことが心に浮かぶ。
ずっと遠くへ行ってしまったあなたの背に、
「私はここで生きています」と、確かに聞こえるあなたの声に、
私は何を答えるだろう。
辛さや苦しさと共にあった時間に
「あなたと出会えて良かった」と、そんな想いを伝えたくて、
そっと言葉を添えてみる。
どこか傷ついていたあなただから、
ずっと辛さを抱えていたあなただから、
「前を向けなくならないように、苦しむことのないように」と、
そのことだけを願っている。
いつかあなたと出会えるなら、
昔のような優しい声で、私に、話かけてほしい。
私は、元気に暮らしているから…。
そんなことを考えていると、
ぼやけていた日常がまた、普段通りに動き始める。
いつも通りの薄化粧をして。
