吐く息の白さや風の冷たさ。
朝早く起きると、空はまだうす暗く、街が静まり返っている。
肌にあたる冬の乾いた空気を感じると、
何故か人恋しさを覚えるのは、そんな昔の記憶が蘇るからだろう。
人がいる事の温もりや、友と過ごした大切な時間は、
かけがえのないものとして、私の胸にしっかりと刻まれている。
冬、私は友と過ごした当時の記憶を特に思い出す。
緊張や不安、葛藤や迷いといった感情は、この季節に由来している、
そんな事を思いもするが、この季節があった事が私の人生を大きく
成長させた。
辛さや苦しみ、それは私の人生において、つきものであった。
辛さや苦しさと共に歩む人生において、友と過ごした時間というのは
かけがえのないもので、大切なものや大切な人、それは無くしてはいけない
宝物のようだった。
しかし、自分自身の持ち物、それから大切な人、何とかそれを
繋ぎ止めようとすると、何故かその関わりを壊してしまう、そんな癖が
昔の私にはあった。
人と接する時に、その関わりを途切れさせないように
相手の気持ちを汲んでしまうのは、そんな当時の名残りが
あるからかもしれない。
大切な人や大切なものとの向き合い方が下手なのは、昔から変わっていない。
冬の季節、特に寂しさの記憶の中、この季節の訪れを感じると、
当時の辛さや苦しさを思い出すのだけれど、今、私の周辺で冷たさを
感じる事など、あまり多くはない。
かけがえのない人たちとの出会いが、
人生における大切なものを教えてくれた。
人生を歩む事の意義や価値を見つける、手助けをしてくれた。
辛さや苦しさ、それから、冬の厳しさ、それは私の記憶から
消える事はないと思うが、それらは、とても大切な人生の一部である。
たくさんの思い出の中で、人生の厳しさを教えてくれた、
かけがえのない記憶の中の断片である。

