定理を加工する時に必要な定理、
それを私は「メタな定理」と呼んでいる。
定理を作る時にどのような形にしたら
証明の道筋がつくのか分からない、そのような場面が
出てくる事は多々あるように思う。
そんな時に、あらかじめこのような形が
作れてしまえば、証明が成立していると見做せる
というような形が存在している場合がある。
その場合、その形式にのっとって論を進めていくと
証明が上手くいく。
証明に関して言えば、どのように解けば
定理が成立するかといった事は、ケースバイケースである。
ただ、基本的な事で、定理が証明できないケースが
生じる時もある。
そんな時に、「メタな定理」が役に立つ事がある。
今日は、特に基本的な「メタな定理」について、紹介する。
証明をする過程で、
「$=$(イコール)」を証明しなければいけない場面
というのが多くある。
この時、この「$=$(イコール)」を言うためには、つまり「$A=B$」 を
証明するためには、「AからBへの流れ」と「BからAへの流れ」の 2つを
証明すれば良い。
つまり、「$A\subseteq B$ かつ $B \subseteq A$」を証明すれば良い。
従って、「$A\subseteq B$ かつ $B\subseteq A \Rightarrow A=B$」である。
これは、たくさんの数学の教本に書かれている基本事項でもある。
ただ、数論的に言えば、「$A=B$」を証明する時に使える
「メタな定理」はこれだけではない。
例えば、「$A|B$(BをAで割り切る)かつ$B|A$(AをBで割り切る)」
事が言える時も「$A=B$」がいえる。
つまり、「$A|B$ かつ $B|A$ $\Rightarrow A=B$」が言える。
これも、意外と色々な場面で使える「メタな定理」だと思う。
ちなみに、メタな定理は「定理である」から、
それ自体を証明する事ができる。
つまり、「$A|B$ かつ $B|A$ $\Rightarrow A=B$」は、
その事自体を証明する事ができる。
私が、証明をしていて、また、証明を眺めていて面白いなと感じるのは、
小さな一つ一つの証明が折り重なって一つの大きなシステムの全体が組まれている事を
発見した瞬間でもある。
「基本的な証明の積み重ね、その根幹にメタな定理がある」
それは、基礎的な事ではあるがとても興味深い事だと、私は思っている。

